現代のビジネス環境では、ワークライフバランスの向上が企業や従業員の成功に直結するとされています。
管理職は、組織の方針を現場に落とし込み、働きやすい環境を構築する上で重要な役割を担っています。
本記事では、管理職が果たすべき役割と、それを実行する際に直面する課題、そしてその解決策について考察します。
ワークライフバランスを制すものはマネジメントを制す
あなたは管理職として、ワークライフバランスをどのように高めようとしていますか?
(これから管理職になる人なら、あなたが管理職なったら、どのように高めたらいいと思いますか?)
管理職は、部下が自分の仕事に意義を感じ、積極的に取り組める環境を作る必要があります。
そのために必要なことは3つ。
①働きがいのある目標の設定
②業務内容の明確化
③フィードバックと評価
どうですか?
これってマネジメントそのものですよね。
この3つの必要なことを行わずして、ワークライフバランスを叫んでも、掛け声倒れに終わるだけです。
実際、部下たちの声を聞くと、制度が整っていたとしても、職場の雰囲気や上司の顔色をうかがっているのが実情です。
「自分の仕事が終わっても帰れる雰囲気ではない」
「育休どころか、子どものことでの有休すら取りづらい」
「管理職世代の意識を変えて欲しい」(引用元:大阪市女性活躍ポータルサイトより)
ですから、部署全体に指示することと併せて、部下それぞれと目標やの共有、業務内容の確認が必要です。
そして業務の進捗に合わせてフィードックやサポートをしながら、評価を行ってことが大切となります。
ワークライフバランスがとれる職場は三方良し
とは言え、ワークライフバランスなんて「部下のわがまま聞いているだけでしょ!」と思っていませんか?
実は、違うんです。
ワークライフバランスが高い職場の社員の特徴はこのような点があります。
(1) 仕事を効率的に行う
(2) 仕事に対する意欲が高い
(3) 個人の事情に応じて柔軟に働きやすい
(4) 職場に貢献しようとする意識が高い
そして、このような特徴のある社員が構成する職場は、当然ですが業績も良いものになります。
また、最近は部下の主体的が重視されています。
それは、顧客ニーズや業務が多様化していることが背景にあります。
ですから、上司の指示に従っているだけでは、時間的、内容的に間に合わないことが増えているからです。
主体的な社員や職場の雰囲気づくりは、管理職の基本的な要件です。
つまり、多くの職場において、ワークライフバランスを高めるマネジメントをすることが、望ましい管理職像といえるのです。
ワークライフバランスを高めている管理職(イクボス)の特徴は?
職場のワークライフバランスを高めることができる管理職のことは「イクボス」と言うようになりました。
イクボスをとは、
部下の育休取得や短時間勤務などがあっても、業務を滞りなく進めるために業務効率を上げ、仕事と私生活を両立できるように配慮し、自らも仕事とプライベートを充実させている管理職のこと。
引用元:厚生労働省イクメンプロジェクトサイト
では実際のイクボスは、どのような特徴があるのでしょうか?
まず、「自分の生活を大切にしている」ことがあげられます。
家庭での自分の役割をしっかりと自覚して、仕事と両立をしている。(あるいは、両立させようと努力している)
職場で部下に言っていることと、行動が一致している「言行一致」の人だと言うこと。
もう一つは、「部下 の仕事以外の事情に配慮している」こと。
部下の将来の夢ややりたいこと、趣味や今、ハマっていることなどを知っているのです。
つまり、部下に興味を持っているんです。
管理職で大事なことは、部下の興味を持つことです。
興味を持つと、いろいろなことが見えてきます。
・顔色がいいのか悪いのか?
・疲れているか、いないか?
・ノッているか、迷っているか?
そんな健康や気持ちの揺れ動きが手に取るようにわかるようになります。
また、部下が失敗したとき、多くの管理職は一方的に失敗の原因を決めるつけてしまいがちです。
しかし、部下に興味を持っている管理職は違います。
・なぜ、そのような行動をとったのか?
・何がしたかったのか?
・次は、どうしようと思うのか?
このように考え、それは部下に寄り添ってサポートすることになり、ひいては、部下の能力を引き出すことにつながります。
ワークライフバランスを高めるためる「3つの鍵」とは?
管理職ですから、多くの能力が必要ですが、中でも一番大事だと思う能力は、柔軟性です。
会社が用意したワークライフバランスを高める制度や施策があると思います。
・在宅勤務/テレワークの導入
・フレックスタイム制
・育児、介護休暇 etc
これらを駆使して、業務を回しながら、部下のワークライフバランスを高めていくわけです。
対象となる部下の状況を把握し、職場の状況を理解して運用判断するのは管理職の仕事です。
「子供の熱がでたので、突然出社できない」
「その部下が担当している業務の納期が迫っている」
「出社までの間、誰にどのようなフォローをさせるか」
これらを、今いるメンバーの中でどのようにやりくりするかを考え、指示を出さなければなりません。
【1つ目の鍵】従来にとらわれない柔軟な発想
保育園に子供を預けている女性社員について、「短時間勤務」の対応を取っているでしょう。
それ以外にも、業務ボリュームや進捗状況に合わせた対応も必要になります。
「短時間勤務を許可しているから、大丈夫だろう」
そんな考えの”あとはよろしく上司”では、ダメ。
「日々の声掛け」で状況把握をしたり、部下の考えを引き出していくことが必要です。
また、女性部下と旦那様との家事・育児分担の考え方なども把握しておくことも、重要です。
あまりにも旦那様が家事・育児に理解がないようならば、夫婦での話し合いを促しても良いのではないでしょうか?
最近は、「子供のお迎えを旦那さんに頼めないのか?」と、部下にリクエストする上司も現れてきました。
一方的に上司が言うのは、良し悪しもあるでしょう。
ですが、上司と女性部下とコミュニケーションをしっかりとった上でのことであるなら、上司のワークライフバランス意識が上がっていると言えます。
【2つ目の鍵】業務の効率化
働き方改革全般の課題となっているのが、業務の効率化です。
ITツールの導入やAIの活用、社外へのアウトソーシングなど、業務の効率化への取り組みはそれなりに行っているでしょう。
しかし、個人の意識によってその効果に大小が生まれます。
その中で、会議の効率化は、参加者全員の時間の有効化につながります。
従来通りにやることで効果があるものは残し、そうでないものはやり方を変える、あるいは廃止していきましょう。
これは、課長などのチームリーダーの柔軟な意識でしか変えられないものです。
さらに、そう言った従来に捉われない発想でリーダーが取り組んでいる姿勢は、その恩恵にあずからメンバー個々への意識アップにもつながります。
その意識の高まりから、業務効率を上げるアイデアが生まれてくるのです。
【3つ目の鍵】社員の事情を踏まえた体制づくり
ワークライフバランスをとる上では、メンバーの意識アップが欠かせません。
例えば、育休で長期に不在となる間、1名減の状態でチームを回さなければなりません。
残されたメンバーへの「申し訳なさ」を本人は感じているでしょう。
また、メンバーの中にはあからさまに「迷惑だと」言ってしまうこともあるでしょう。
こういったメンバーの意識を管理職は放置してはいけません。
例えば、子どもの具合で急な休みを取りたいと思っても、職場に迷惑をかけていないかと気に病み、退職してしまうこともあります。
新しく補充したくても、人手不足の現状ではなかなかとることはできません。
採れたとしても、教育する期間は、メンバーに負担を強いらなければなりません。
以下のように日ごろから、業務に関わる情報の共有をすることで、フォローしやすい体制づくり行いましょう。
・業務の手順を明確化する
・フローチャートを作成する
・IT活用でメンバー間の業務状況を把握する
これは、業務の効率化にもつながるので、管理職としてはマネジメントの基本と言えます。
さらに、雰囲気作りも大切です。
「困ったときはお互い様」
古くからう言われる言葉ですが、上司が口に出してメンバーに浸透させることも一つの手です。
上司がどう考えているか、部下は良く見ています。
そして、それに沿った行動を無意識にとる傾向にあります。
このような、施策と意識を組み合わせて、ワークライフバランスを高めていきましょう。
ワークライフバランスを継続するためには情報共有が必要
実際に、ワークライフバランスを高めていくことをミドル管理職にかかる負担も多くなります。
部下に任せず自分で抱え込む課長さんも少なくありません。
また、次々に問題が発生することもあるでしょう。
私がおすすめするのは、同じ立場にある管理職同士の情報交換がです。
社内での管理職会議での議題にしたり、コミュニケーションの中で質問をしたり。
そう言う日々の中にワークライフバランスの話題を取り上げましょう。
雑談レベルから始め、相談、会議での議題にしていくのが良いと思います。
何事も、「意思あるものに道は開ける」です。
意識していると情報は集まってきますし、知恵のある人と出会えるものです。
いずれにしても、ワークライフバランスを高めていくことで、働き方改革を実践していくことができます。
それは、社員の満足度の向上になり、人財の確保につながります。
風土を、優秀な人材の登用にもつながっていきます。
職場の雰囲気の良いところに人は集まってくるものです。
この循環を作り上げるためにも、ワークライフバランスを高めていきましょう。